今の時代、「書く」スキルはビジネスシーンに限らず、日常のコミュニケーションで必須となりつつあります。
プライベートでも、SNSやコミュニケーションツールでの会話が主流になり、むしろ対面での会話を苦手だと感じる人も増えたそうです。
コミュニケーション能力は、対面だけでなく、文章でのやりとりにおいても非常に高いレベルを求められるようになりました。
文章におけるコミュニケーションというのは、いろいろな種類があります。
クライアントとのやりとりや、社内での報連相、友人や恋人、家族との何気ないやりとり、SNSなどでの一方的な発信など・・・
中でもとりわけ難しいのが、目的を達成させるための文章を書くことでしょう。
例えば、商品やサービスのPR記事、企業の求人票、就職のための自己PR文などがあります。
インターネットが人々の生活に染み付いた今、文章で人を動かすことの重要性が、昔以上に高まったように感じます。
特に日本人の書く文章は、読み手が意識されにくい傾向にあり、その理由のひとつ、読書感想文の教育方針が挙げられます。
読書感想文では、本を読んで自分自身はどう感じましたか、といった、自己完結型の文章を書くことを求められてきたため、結果、読み手に自分の文章を読んでどう感じてほしいか、というところまで意識した文章が書けない人が多いように思います。
目的を達成させる、つまり読み手に行動をさせるには、まず共感させることが何よりも大切。
人間の行動には必ず感情が伴います。その感情を文章によって湧き起こさせるのです。
共感させる文章を書くことを、私たちは共感ライティングと呼んでいます。
共感ライティングができるようになることで、目的を達成させるための文章が書けるようになります。
共感に対する考え方や、レポートトーク、ラポートトークといった共感ライティングのテクニックを学び、書くスキルを高めていきましょう!
共感の意味と意義
人間は、感情が発生することで、はじめて行動します。腹が立ったから怒った、悲しいことがあったから泣いた、違和感があったから反論した・・・
行動の裏には、感情が潜んでおり、どんなに理性があっても、感情がなければ、行動につながることはありません。
感情は自己によって生まれますが、人間はコミュニケーションをする生き物なので、他者との共感によって感情が生まれることが多いです。
共感ライティングのスキルを身につけるために、共感とはなんなのか、まずは根本的な理解を深めるところから始めていきましょう。
共感という言葉を大辞林で調べたところ、以下のように解説されていました。
- 他人の考え・行動に、全くそのとおりだと感ずること。同感。「——を覚える」「彼の人生観に——する」
- 他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
(引用元:大辞林)
他人が怒ったり泣いたり、笑ったりすることに対して、自分も同じように怒ったり泣いたり、笑ったりすることや、他人の考えに対して、自分も同じ考えだ、と感じることを共感といいます。
共感の中にも情動的共感と、認知的共感があります。他人が抱いている感情を同じように感じる共感を、情動的共感といい、他人の立場に立って物事を考えられる共感を、認知的共感といいます。
例えば、友人が怒っていることに自分も一緒になって怒ることは、情動的共感になり、友人と同じ視点で物事を捉えることは、認知的共感になります。
情動的共感も人知的共感も、他人の存在が必要不可欠であり、他人から発生した感情や事象から共感が生まれています。
共感の意義は、相手を行動させる、というところにあります。
諸説ありますが、共感は、人類の進化の過程で発生し身についた本能的な能力だといわれています。
人間は、組織(コミュニティ)によって自らの社会を発展させてきました。
組織やコミュニティというのは複数の人間がいることで形成されます。複数の人間をまとめあげ、組織やコミュニティを成立させ、大きくしていくには、そこに所属する人々が、考えや行動を一致させなくてはなりません。
前書きでも伝えた通り、人間の行動の裏には感情が潜んでいます。
組織(コミュニティ)の中で人々が考えや行動を一致させるために、まず感情を一致させる、つまり共感することが大切だったのです。
また、男性は狩りをし、女性は家を守る、という明確な役割があった時代において、生きていくためには仲間との連携が重要で、連携のためには共感が欠かせないものだったとも考えられます。
なにより、現代と違い、昔はインターネットなどというものはありません。インターネットどころか、電話をかけたり、手紙を送るということすらもできません。
情報を獲得するためには、人とのコミュニケーションが何よりも重要な手段だったのではないでしょうか。
壮大な話になってしまいましたが、時代が変わっても組織(コミュニティ)のあり方や、人と人とのコミュニケーションの取り方は変わりません。
そこには、共感が欠かせず、共感があることで、あらゆるものが成り立っているのです。
世の中で、単純な頭の良さよりも人間性が求められるのは、人間が本能的にお互いを牽制し合っているからかもしれませんね。
今回は、共感×ライティングにスポットを当てていますが、マネジメントや恋愛にからめて共感について考えてみても面白いですね!
- 共感:他人の考えや行動に、自分もそうだと思う、感じること。他人が抱く感情と、同じ感情を抱くこと。共感が発生することで、行動が発生する。
共感させる文章を書くべき理由
先ほども述べましたが、人間は、生きるために本能的に共感しようとし、時には共感させることを他者に求めてきました。
共感というものは、突然的に発生するものではありません。伝達手段を用いて、意図的に発生させる必要があります。
伝達手段には会話や手紙、電話、メール、SNSと、ありとあらゆるものがありますが、そのどれもが、言語を使用しています。
言語をコントロールして相手を説得させるテクニックは、ギリシャ時代から「レトリック」として説かれてきました。
レトリックとは、共感を促し行動させるテクニックのことをいいます。
レトリックというと、相手を言い負かす、説得するという意味合いが強いですが、相手が無理矢理行動したことはレトリックではなく、相手が自ら行動することを選ぶためのテクニックをレトリックといいます。
客観的にみて、自分が言い負かされているように見えていても、結果的に相手が自分の望んだ通りに行動していれば、それは、レトリックが成立したということになります。
共感させるためには、言語を使いこなせるようになる必要があり、最初のステップとして、まずは共感する文章を書けるようになる必要があります。
言語を意図的にコントロールできるようになることで、やがて応用として会話に取り入れたり、音楽や映像、イラストといったあらゆるコンテンツに反映させられるようになるでしょう。
哲学者・アリストテレスは、レトリックに欠かせない要素として、「ロゴス」、「パトス」、「エートス」の3つを挙げています。
ここからは、レトリックにおける3つの要素について、詳しく解説していきます。
ロゴス(論理)
ロゴスは、論理的に情報を伝える技法です。
事実はこうです、なぜならこうだからです、つまりこうしてください、のように、論理立てて伝えることで、相手が情報を理解しやすくなります。
ロゴスは、情報伝達において基本的なテクニックですが、レトリックの場合、少しコツがいります。
レトリックにおけるロゴスは、あくまで相手の立場に立ったロゴスを展開する、ということ。
例えば、「Aさん、チームでのルールなので、業務中に音楽を聞くのはやめてください」という注意は、論理自体は成立しています。
しかし、あくまでチーム視点のロゴスなので、Aさんを説得させにくい伝え方になってしまっています。
この場合「Aさん、メンバーから声をかけたり、クライアントから電話がかかってくることも多いので、業務中に音楽を聞くのはやめてください」と、社員の視点に立ったロゴスにすることで、確かにそうだな、と思わせることができます。
パトス(情熱)
パトスとは、感情に訴える技法です。
何度も伝えている通り、人間が行動するには感情が欠かせません。論理がいくら成立していても、そこから行動させるための感情を生み出ささなくてはなりません。
先ほどの注意を例にしてみましょう。
ああ言われたら、おそらく、Aさんはルールを守るでしょう。しかし、中には、言われたことに対してモヤっとしてしまう人もいるのです。
このような場合によく聞くのが、「言ってることはわかるけど、言い方が気になる」、「なんだか冷たい感じがする」など。
そう感じてしまうのは、幼稚だと思う人もいるかもしれませんが、人間としてはごく自然な感じ方です。
人間は感情によって行動するわけですから、感情の行き場がない言葉には、行動したいと思わせる力が足りなくなってしまうのです。
では、これならどうでしょう。
「Aさん、メンバーから声をかけたり、クライアントから電話がかかってくることも多いので、業務中に音楽を聞くのはやめてください。他のチームのBさんが音楽聴きながら作業していたら、Cさん(上司)に声かけられていることに気がつかなくて、怒られているのをみちゃったんだよね。Aさんもそうなってしまったら、私も嫌なので・・・」
このように、相手の感情に訴えることで、相手が心から納得し、行動に移しやすくなる可能性がより高まります。
エートス(人格)
エートスは、語り手の人格や信頼を発揮する技法です。
そもそも語り手自身が嘘つきであったり、信頼に値しない人間だった場合、人は耳を傾けようとしない、ということです。
ロゴスとエートスで使用した例文で考えると、そもそも注意する人物がルールを守っていないようであったり、日頃の言動に問題があるようでは、Aさんも話を聞くはずがありません。
エートスは、自分自身の体験談や自己紹介などで、会話や文章の中に盛り込むこともできますし、語り手が放つオーラから、直感的にエートスを感じさせることもできます。
そのため、共感力が高い人に出会うと、人は好感を抱きやすく、信頼しやすい傾向があるんですね。
エートスには、共感力の高さも含まれると考えられます。
これら3つの要素を組み合わせて言語を組み立てることで、レトリックが成立し、相手を説得させられる、というのがアリストテレスの考えです。
このレトリックの考え方を、共感ライティングにも落とし込むことで、相手を共感させるだけでなく、行動に移すことができる文章を作りましょう。
レトリックについては、『THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術(ジェイ・ハインリックス(著)、多賀谷 正子(翻訳)/ポプラ社)』が非常に勉強になりますので、興味のある方は読んでみてください。
- レトリック:言語をコントロールして相手を説得させるテクニック。ギリシャ時代に哲学者・アリストテレスが、レトリックには「ロゴス」、「パトス」、「エートス」の3つの要素があると提唱した。
- ロゴス(論理):論理的に情報を伝える技法。論理立てて言葉を並べることで、相手が情報を理解しやすくなる。
- パトス(情熱):感情に訴える技法。相手の感情に訴えることで、相手の心を動かし、行動につなげやすくする。
- エートス(人格):語り手の人格や信頼を発揮する技法。体験談や自己紹介、自分自身から放つオーラなどから、相手を安心・信頼させ、耳を傾けやすくする。
共感ライティングのテクニック(レポートトーク・ラポートトーク)
ここまで、共感の意味や意義など、共感そのものについて深掘りし、共感の仕組みについて解説しました。
ここからは、共感ライティングの実践的なテクニックについて解説していきます。
共感ライティングをできるようにするには、大切な2つのテクニックを身につける必要があります。
それが、冒頭で少し触れた、「レポートトーク」と「ラポートトーク」になります。
レポートトークとラポートトークとは、相手の心を動かすための会話(ライティング)のテクニックです。
レポートトークが情報中心の言葉、ラポートトークが感情中心の言葉を指し、それぞれをバランスよく会話や文章に組み込むことで、相手の心を打つ、つまり共感させることができ、行動を引き起こすことができます。
「共感の意味と意義」で少し触れた通り、脳には知能と感情を司る機能があり、それらは互いに拮抗しあっています。
そのため、人間には理性的な面と、感情的な面があり、常にお互いがぶつかりあったり、どちらかが優位になります。
このような人間の本能を利用したテクニックが、レポートトークとラポートトークです。
理性面にはレポートトークを、感情面にはラポートトークを使って、人の心の動きに直接働きかけることで、より、言葉の力を効果的に発揮できるようになります。
レポートトークとラポートトークという言葉そのものは、言語学者のデボラ=タネンが、自らの著書、『You Just Don’t Understand(邦題:わかりあえる理由 わかりあえない理由)』において、男女に見られる話し方の違いとして提唱しています。
レポートは英語のreport(報告)、ラポートはフランス語のrapport(お互いが信頼しあっている、調和している、フィーリングが一致している)とからきています。
レポートトーク
レポートトークとは、正確な情報や事実を、論理立てて相手に伝える技法のこと。
例えば、今日は天気だったから出かけたという事実を「今日は晴れだったので、外出しました」と伝えることがレポートトークです。
「今日は晴れだったので、外出しませんでした」と伝えるのは、レポートトークではありません。
また、「今日は晴れだったので、外出しました」と伝えたはずなのに、相手には「今日は晴れだったので、外出しませんでした」と伝わってしまった場合も、レポートトークは成立していません。
正しい情報を正しく伝えることが、レポートトークの肝になります。
ラポートトーク
ラポートトークというのは、自分自身の感情や心の動きを伝え、相手に共感させるための技法です。
ラポートトークについて説明すると、多くの人が、「ああ、ラポートトークは感想を書けばいいということなんだね」と勘違いしてしまいます。
ラポートトークは、相手に共感させる技法なので、感想であって感想ではありません。
例えば、とあるグルメサイトの口コミにこんな文章があるとします。
「〇〇というお店のハンバーグを食べました。とてもおいしかったです。ぜひ一度食べてみてください」
上記の文章を読んでみて、どう思いましたか?
へえ、そうなんだ、と感想は浮かべど、そのお店へ行ってみようかな、というところまでは辿り着かないのではないでしょうか。
これは、あくまで個人の感想であると私たちは考えています。
ラポートトークは、相手を共感させることが目的の技法。文章を読んで、感想で終わるのではなく、読み手が共感し、さらにそこから行動させる必要があります。
では、こんな文章はどうでしょう。
「〇〇というお店のハンバーグを食べました。ナイフを入れると肉汁がブワッと溢れ出てきて、口に入れた瞬間に肉の旨味が広がり、とてもおいしかったです。ハンバーグ好きにはたまりませんね。ぜひ一度食べてみてください」
最初の文章と比べて、どのような印象を感じましたか?
頭の中に肉汁があふれるハンバーグが浮かんできませんでしたか?お腹が空いてきませんでしたか?そのお店のハンバーグが食べたいと思いませんでしたか?
これがラポートトークです。
上記の文章も感想といえば感想になってしまうのですが、最初の文章と比べると、感想が一方的になっているのではなく、読み手がいる、つまり共感を意識した内容が書けています。
私はこう思った、私はこう感じた、など・・・
ラポートトークはあくまで、相手の共感を得るために、相手の感情に訴える技法なので、自分の思っていることを一方的に伝えることは、ただの感想文になってしまいます。
自分が悲しいことを、この人は悲しいんだ、と感じてもらうためのラポートトークは、ネガティブなラポートではなく、単純にラポートトークの一種だといえます。
レポートトーク・ラポートトークを使いこなすコツ
共感ライティングにおいて、レポートトークとラポートトークを使いこなすコツは、文章の目的に合わせてバランスを考えながら組み込むことです。
例えば、大学の授業で作成するレポートは、教授が読むものですし、ある程度形式が決まっているので、レポートトークを全面に出した文章構成の方が効果的です。
先ほどラポートトークの説明で例に挙げたような、料理の口コミや旅行記などは、商品や宿泊施設の情報だけでなく、実際に体験したことや感じたことといった、ラポートトークをしっかり伝える必要があります。
ビジネスの報連相でも、レポートトークとラポートトークを使うことで、相手を共感させることができます。
例えば、クライアントへインタビューを実施した部下が、上司へそのことを簡単に報告するための連絡を入れたとします。
「本日は株式会社〇〇さまのAさまへ、商品開発に関するインタビューを実施いたしました。再来週のお打ち合わせまでに初稿を完成させ、ご確認いただく予定です。」
もちろんこの報告でなんら問題ありません。レポートトークが成り立っています。
しかし、これだけだと、インタビューがうまくいったのか、クライアントの方はどんな様子だったのか、細部までは読み取れません。
読み手はこの報告で事実を知ることはできますが、共感することはできません。
ここにラポートトークを加えてみましょう。
「本日は株式会社〇〇さまのAさまへ、商品開発に関するインタビューを実施いたしました。当日は和やかな雰囲気でインタビューは進み、Aさまは時折笑いながら質問に対して詳細に回答してくださいました。自分も知らないことを学ぶことができて、良い経験になった反面、まだまだ勉強不足だと痛感しました。再来週のお打ち合わせまでに初稿を完成させ、ご確認いただく予定です。インタビューはかなりボリュームがあるので、早速業務に取り掛かろうと思います。」
どうでしょうか?この報告なら、上司は、インタビューを実施した部下と同じようなレベルで、業務に関する情報を把握することができます。
もしクライアントから、インタビューについて話が出た時も、上司は行き違いなくスムーズにやりとりができるでしょう。
このように、レポートトークとラポートトークを混ぜることで、より相手が共感しやすい報告ができるようになります。
男性でもラポートトークに共感しやすかったり、女性でもレポートトークでやりとりする方が好きという人もいますしね。
- レポートトーク:正確な情報や事実を、論理立てて相手に伝える技法。主語と述語が一致しているか、時制が一致しているか、5W1Hは正確か、など、自分が伝えたい情報がそのまま相手に伝わるよう、言葉を組み立てる。
- ラポートトーク:自分自身の感情や心の動きを伝え、相手に共感させるための技法。個人的な感想ではなく、相手がその言葉を受けて共感するような言葉を組み立てる。
共感ライティングの作り方
共感ライティングの技術を磨くのは、日々文章を発信し続けるといったシンプルな方法が一番です。
とはいえ、共感ライティングを意識した文章をいきなり作れと言われても難しいですよね。
どのような手順で共感ライティングを進めていけばいいのか、5つのステップに沿って、実践的にレクチャーしていきます。
- 思考をアウトプットする(理解)
まずは思考の言語化をおこなう。頭の中に浮かんだ言葉を思いつく限り書き出し、マインドマップを作る。
- アウトプットした言葉を整理する(抽出)
言葉を書き出しマインドマップを作成した後は、それぞれの言葉を整理し、レポートトーク、ラポートトークに分類する。文章の目的に合わせて、言葉の取捨選択もおこなう。
- 抽出した言葉を組み立てる(構成)
マインドマップで整理した言葉を、構成に沿って組み立てる。構成は、文章の目的に合わせる。
- 組み立てた言葉を繋ぎ合わせ、文章にする(執筆)
構成に沿って、言葉をつなぎ合わせて文章を作る。
- 文章を見直す(推敲)
できあがった文章を客観的な視点で1から見直し、全体の確認をおこなう。しっかり確認して問題なければ、完成。
これから紹介する5つのステップ(理解・抽出・構成・執筆・推敲)は、あらゆるコンテンツ制作の手順と同じです。
コンテンツ制作に限らず、報連相や、日常的な会話など、言葉をアウトプットして情報を伝達するためには、5つのステップが欠かせません。
この5つのステップを覚えるだけでも、筋の通った文章や会話ができるようになるので、そもそも文章を書くことや話すことが苦手だ、と感じている人も参考にしてください。
コンテンツ制作(ライティング)における5つのステップについては、別の記事で詳しく紹介していますので、そちらもご覧ください。
今回は、とあるカフェの人気パフェの口コミを書くという設定で、共感ライティング(レポートトーク・ラポートトーク)を意識した文章を実際に作りながら、手順を紹介していきます。
01. 思考をアウトプットする(理解)
何かを書きたい、と思った時、頭の中にいろいろな言葉が浮かぶと思います。
まずは、その頭に浮かんだ言葉を思いつく限り、書き出してみましょう。
この時におすすめなのが、マインドマップの活用です。
マインドマップとは思考法のひとつです。中心に思考の対象となるテーマを設定し、そこから関連される事柄をどんどん書き出し、ふくらませていきましょう。
文字に書き起こし、思考を可視化することで、頭の中が整理されていきます。
ぜひマインドマップ作りからやってみてください!
理解のフェーズでは、口コミに書くか書かないかは無視して、思いついた言葉をアウトプットしていきましょう。
他人の考えや行動に対して同じように感じることや、他人の抱く感情に同じような感情を抱くことが共感であれば、まずは自分の中の考えや行動、感情を言語化する必要があります。
自分の頭の中にある、共感へつながりうる言葉を引き出すところから始めてみましょう。
02. アウトプットした言葉を整理する(抽出)
考えたことや感じたことをマインドマップに出し切ったら、今度は、ひとつひとつの言葉を分類します。
色を使って分類していくとわかりやすいので、おすすめです。
今回は、レポートトークはブルー、ラポートトークはレッドで分けてみました。
レポートトークとラポートトークを分類したら、文章の目的に合わせて、必要な言葉、そうでない言葉を取捨選択しましょう。
必要だと思った言葉はイエローで囲んでいます。
分類する時に思いついたことは、ピンクで書き足しています。
03. 抽出した言葉を組み立てる(構成)
マインドマップの分類が終わったら、それぞれの言葉をどのような順序で伝えていくか、構成を考えます。
この時、文章の目的に沿って、レポートトークとラポートトークの割合も決めましょう。
基本的には、レポートトークが7割、ラポートトークが3割くらいがちょうどいいです。この基準をベースに、レポートトークとラポートトークの割合を増やしたり減らしたりしながら、構成を組み立てていきましょう。
- 前書き
- 文章全体の目的を紹介をする:(〇〇カフェで季節のフルーツパフェを食べました)
- カフェの紹介:どんなカフェか、カフェの特徴、どんな場所にあるか
- パフェの紹介:マインドマップに沿って、フルーツを中心にポイントごとに紹介(さくらんぼ/クリーム/全体の味)
- まとめ
今回は、口コミを書くので、レポートトークよりも、より人の心を動かしやすいラポートトーク中心の構成にしようと思います。
レポートトーク中心の構成にする場合、事実に対する原因やさらに詳細な事実、次のアクションなどの、ロジカルライティングを意識して組み立ててみましょう。
ラポートトーク中心の構成にする場合、問題提起や体験談など、文章に対して興味関心を持たせるような、エモーショナルライティングを意識して組み立ててみましょう。
04. 組み立てた言葉を繋ぎ合わせ、文章にする(執筆)
構成ができあがったら、それぞれを繋ぎ合わせ、文章にします。
慣れないうちは自分なりに文章を書いて、誰かにチェックしてもらうといいでしょう。
書く技術そのものを磨きたい方は、文章力に関する書籍が多数販売されているので、参考にしながら書いてみるといいです。
〇〇カフェは××駅から徒歩5分のところにあり、パフェやケーキなどのスイーツや、厳選された茶葉や豆を使用した紅茶やコーヒーがいただけます。
「季節のフルーツパフェ」は、〇〇カフェ人気No.1の看板メニュー。
季節ごとに変わる旬のフルーツがふんだんに使われており、さらに、自家製の生クリームやソースがフルーツの美味しさを引き立てます。
さくらんぼば山形県の佐藤錦を使用。ひとつひとつの粒が大きく、色は真っ赤でツヤツヤしていました。
食べる前からさくらんぼのはじける食感を想像して、よだれが出そうになりました(笑)
さくらんぼは甘酸っぱい味を想像していましたが、しっかりと甘みが感じられて、いつも食べているさくらんぼとは違う味に驚きました。
噛んだ瞬間、じゅわっと弾けた果肉の食感にも、幸せいっぱいになりました。
クリームの間にあるチョコレートソースやベリーソースは少し濃いめで、パフェ全体のいいアクセントになっています。
クリームのボリュームもちょうど良く、最後まで飽きることなくあっという間に食べてしまいました。
長くなってしまいましたが、マインドマップから構成を組み立てて文章を使ってみました。
長い文章だからといって、共感ライティングになるとは限りません。
レポートトーク、ラポートトークのポイントを抑えることが大切です。
簡単ではありますが、すぐに取り入れやすいレポートトーク、ラポートトークの表現を紹介します。
- AはBです。なぜなら、Cだからです。つまり、AはDでもあるのです。(三段論法)
- 私は本日、〇〇を購入するために、A店へ徒歩で向かいました。(5W1H)
- みなさんも〇〇だったと感じませんか?(呼びかけ)
- Aさんはウサギのようにくりっとした、大きな瞳が魅力です。(比喩表現)
また、五感は感情と結びついているので、五感に訴える表現もラポートトークとして適当です。
05. 文章を見直す(推敲)
文章が完成したら、最終確認として文章全体を見直します。
推敲はつい疎かにされがちですが、確認こそしっかりと手間をかけましょう。
文章を見直すときのコツは、読み手視点で読み返すこと。
特にレポートトークとラポートトークを意識した文章を作る場合、読み手が読んで共感できるか、行動に移るか、というところまで考えながら文章を読み返すことが大切です。
書き上がったばかりの文章は、書き手の主観が強いことが多いので、少し時間を置いてから見直してもいいでしょう。
第三者に確認してもらうというのもおすすめです。
推敲まで終わったら、文章の完成です。
初めのうちは手間も時間もかかると多いますが、この手順通りに進めていくことで、そのうち、理解、抽出、構成までは頭の中で作れるようになります。
執筆や推敲のスピードや質も上がってきますので、まずは簡単なテーマからトライしてみてください。
日々の表現の中で練習していきましょう!
まとめ
文章というのは、目的があることがほとんどです。
その目的を達成させるためには、いかに目的を達成させるためのフローを文章に組み込めるかがポイントになります。
目的というと、CV達成やPV獲得といった堅苦しいイメージを抱かれてしまいそうですが、それだけではなく、同じ趣味の人同士で盛り上がりたい、見知らぬ誰かに楽しんでもらいたい、デートに誘いたい、といった目的も、立派な文章を書く目的になります。
どのような目的の文章でも、共感ライティングは役立つでしょう。
また、共感ライティングの仕組みを理解することで、読解力も増します。書ける力だけでなく、読み解く力が上がるということは、非常に重要です。
私たちは、書く力、読み解く力が弱いことによって、コミュニケーションビジネスのやりとりが鈍化している組織の方々をよくみています。
コミュニケーションにおいて発生しがちな、相手に伝わらないという課題は、共感ライティングを身につけることによって、改善されることもありますので、そういった目的でもトレーニングしてみてください。
共感ライティングの本質は非常にシンプルで、練習すれば誰でも身につけられます。
ライティング力をもっと高めたい人、これから身につけたい人、コミュニケーション力を高めたい人、なんでもいいから伝えるということをやってみたい人は、ぜひ挑戦してみてください!
おそらく他の企業と比べると厳しいとは思いますが、レポートトークとラポートトークを駆使した報連相がお互いにできるようになることで、非常に生産性が高まるのを実感しています。
対内的にも対外的にも情報伝達の効果を向上させる最大のテクニックですので、ぜひ挑戦してみてください!
リテラシーの目覚めによる、
イノベーションの実現
イノベーションが発生し、価値観がバージョンアップする時代では、情報技術だけをアップデートしていても、クライアントに対して最適なソリューションを提供することはできません。 経済、経営、会計、社会、科学、音楽、ファッションなど、あらゆるカテゴリーに関する情報を私たちはキャッチアップし続けます。