ウェブサイトを運営しはじめたら、「Google Analytics」を使ってウェブサイトを分析しましょう。
「Google Analytics」はウェブサイトに対する流入データの表示や、流入したユーザーの分析をしてくれる便利なサービスですが、機能がたくさんあるため、必要な機能からデータをピックアップして分析する必要があります。
分析は、目的があってこそ成り立つもの。ただ集まったデータをぼんやり眺めるのではなく、目的を持ってデータを分析、活用し、ウェブサイトの目的を達成するために必要なコンテンツを強化していきましょう。
ウェブサイト運営に役立つ、「Google Analytics」の活用方法を、3つの観点から説明していきます。
「Google Analytics」の基本的な使い方
「Google Analytics」にアクセスすると、「ホーム」が表示されます。
この「ホーム」にチェックしておきたいデータの項目がほとんど並んでいるので、普段はホームのデータを確認しましょう。気になる数値やグラフの変化がある場合や、詳しくチェックしたい項目がある場合に、それぞれの詳細レポートを確認するようにしましょう。
- ① ユーザー サマリー:訪問したユーザー数やセッション数のレポート
- ② リアルタイムレポート:現在のウェブサイトへのアクセス
- ③ 集客レポート:訪問したユーザーの流入経路
- ④ その他の分析情報:「Google Analytics」が独自に分析したレポート
- ⑤ アクティブ ユーザー レポート:ウェブサイトに訪問したユーザー数の変化
- ⑥ コホート分析レポート:訪問したユーザーの維持率
- ⑦ ユーザー訪問時間帯:ユーザーが訪問した時間帯の分布
- ⑧ 地域のサマリー:訪問したユーザーの地域
- ⑨ モバイルのサマリー:ユーザーが訪問したとき利用したデバイスの割合
- ⑩ ページレポート:ユーザーが訪問するページのランキング
①から⑩のすべての情報が、ウェブサイト運営に役立つのですが、いきなりすべての情報を網羅的に活用するのは難しいです。
そこで、このレクチャーでは、コンテンツ強化のために役立つ「3つの観点」に絞って、「Google Analytics」の活用方法を解説していきます。
ウェブサイトのコンテンツ強化のために役立つ「3つの観点」
ウェブサイトのコンテンツを強化するためには、「Google Analytics」に集計される、「アクセス数」、「流入経路(チャネル)」、「アクセスされているコンテンツ」の3つの観点に注目しましょう。
「Google Analytics」を使いはじめたばかりですと、ついついPV(ページビュー数)の数字をみて一喜一憂してしまいますが、それは意味がありません。なぜなら、PVの数字を見ただけでは、ウェブサイトにとって質の良いユーザーが訪れているかどうかは判断できないからです。
ウェブサイトの最終目的は、ユーザーを集めることではありません。集まったユーザーが、ウェブサイトの目的を達成するための行動をとることです。ウェブサイトを訪れたら終わり、ではなく、ウェブサイトを訪れたユーザーは、どのような行動をとったのかを知る必要があります。
そこで、「Google Analytics」で、「アクセス数」、「流入経路(チャネル)」、「アクセスされているコンテンツ」の3つの観点から集計されるデータを確認する必要があります。
ここからは具体的に、それぞれの観点について、どのように確認し、分析すればいいのかを解説していきます。
アクセス数
ウェブサイトで大切なことは、ウェブサイトを訪れたユーザーが、ウェブサイト内でどのような行動をとっているか、目的を達成するための行動をとっているかどうかを、確認することです。
PVの数字よりも、ユーザーがどのくらいウェブサイトに滞在したのか、1度の訪問で何ページウェブサイトを閲覧したのか、などのユーザーの行動に注目するようにしましょう。
ユーザーのアクセス数の内訳は、「オーディエンス」の「概要」ページで確認することができます。
- ① ユーザー:ウェブサイトを訪れたユーザーの人数
- ② 新規ユーザー:はじめてウェブサイトを訪れたユーザーの人数
- ③ セッション:ユーザーがウェブサイトを訪問した回数
- ④ ユーザーあたりのセッション数:1ユーザーあたりのセッション数
- ⑤ ページビュー数:ユーザーがウェブページを閲覧した回数
- ⑥ ページ/セッション:1セッションで閲覧されたページ数
- ⑦ 平均セッション時間:ウェブサイトを訪問してから、離脱するまでの時間(30分間操作がなければ終了扱いになる)
- ⑧ 直帰率:1ページのみ閲覧された場合の割合
アクセス数といっても、様々な切り口からデータが計測されます。「Google Analytics」を使いこなす上で、まずは「ユーザー」、「セッション」、「PV(ページビュー数)」というキーワードを覚えておきましょう。
画像は、すべて同じアクセスを表現しています。
ひとりのユーザーがPCを使って、ウェブサイトに5月26日と5月28日に訪れ、それぞれの日に3ページ閲覧しました。
この期間のアクセスは、「ユーザー」では1、「セッション」では2、「PV」では6になります。
つまり、「ユーザー」は訪れた人数のカウント、「セッション」はウェブサイトに訪問した回数、「PV」は閲覧したページの数ということになります。
「ユーザー」、「セッション」、「PV(ページビュー数)」、の3つの違いを覚えた上で改めてデータを確認してみましょう。PVが多いということは、ひとりのユーザーが何度もウェブサイトを訪れていた、という可能性があります。
たとえば、ファッションブランドのファンを増やしたい、という目的でウェブサイトを運用しているとします。
PV数が多くて、訪れるユーザーが少ない場合、訪れるユーザーはリピーターであり、コアなファンが増えていると分析できます。リピーターだけでなく、ファンの数を増やしたいのであれば、ウェブサイトの露出を増やし潜在顧客に対する施策をうつことができるでしょう。
一方、PV数とユーザー数が変わらず、直帰率が高い場合、ウェブサイトの露出はうまくいっているけれど、リピートしてくれるファンは集まっていないと分析できます。この場合は、ウェブサイトの1ページ1ページが、ペルソナに適したコンテンツを提供できているか確認をしましょう。
ウェブサイトの目的や運用段階によって注目すべき項目は異なります。PVだけでなく、ユーザーやセッションなどの項目も注目することで、ウェブサイトに訪れるユーザーの行動を分析することを意識しましょう。
また、「オーディエンス」では、ウェブサイトを訪れたユーザーの地域や年齢、性別、興味・関心、などの属性を確認することもできます。
それぞれの属性をまとめることで、自分たちのウェブサイトには、どのようなユーザーが訪れているのか、具体的なユーザー像がイメージしやすくなるため、訪れるユーザーに合わせたコンテンツの強化がおこなえます。
たとえば、ある地域に特化したサービスを運営しているのに別の地域からの流入が多い、女性向けサービスなのに男性ユーザーが多い、など、自分たちが求めているユーザー像と乖離していることが判明すれば、コンテンツの軌道修正をおこなう、もしくは、サービスの拡大や方向転換に踏み切るなど、サービス内容の見直しをおこなうこともできます。
「オーディエンス」には、ユーザーが普段、どのようなコンテンツに興味があるか、どのようなライフスタイルなのかを表示してくれる、「インタレスト」という項目もあります。
どんなことに興味があるユーザーがウェブサイトに訪れているか把握することで、ユーザーが興味をもちやすいコンテンツはどのようなものなのか、知ることができます。
「Shoppers/Value Shoppers(買い物好き/節約志向)」!?
意外ですね。
ウェブサイトにコンバージョンを設定している場合は、全体のアクセス数と比較をしてみるのもいいでしょう。
たとえば、コンバージョンしたユーザーの直帰率やセッション時間が、全体の数字とどれくらい離れているかを確認することができます。全体のアクセス数が、コンバージョンしたユーザーのアクセス数と離れているということは、ウェブサイトには適したユーザーが訪れていないということになります。
コンバージョンしていないユーザーが多く訪れている場合、潜在顧客は呼び込めているので、そのユーザーをどうやってコンバージョンにつなげればいいか、考えてみましょう。
流入経路(チャネル)
先ほど、ウェブサイトの最終目的はユーザーを集めることではない、といいましたが、ウェブサイトをオープンしたばかりのうちは、ユーザーを集めることも大切です。
ユーザーはあらゆる目的、経路からウェブサイトを訪れます。流入経路を知ることで、その人たちがどのような目的、動機をもってやってきたのかを知ることができます。
流入経路(チャネル)は、「集客」の「概要」で確認することができます。
チャネルは、計測されているもののみ表示されます。画像では、「Organic Search(オーガニックサーチ)」、「Direct(ダイレクト)」、「Reffaral(リファラル)」、「Social(ソーシャル)」の4つのチャネルが表示されています。
- Organic Search:GoogleやYahoo!などの、検索エンジンからの自然検索による訪問
- Direct:URLの直接入力によるアクセスや、ブックマークによる訪問、参照元が取得できない訪問
- Referral:ブログやニュース記事など、外部リンクからの訪問
- Social:TwitterやFacebookなどのSNSからの訪問
「集客」の「すべてのトラフィック」内「参照元/メディア」では、それぞれのチャネル別に、「直帰率」や「ページ/セッション」、「平均セッション時間」を確認することができます。強化するべき流入経路の判断や、そのためのコンテンツ制作を具体的に考えることができます。
もちろんここでも、流入数=セッションということになるので、たとえば、Facebookからの流入が多ければ、Facebookの投稿に力を入れよう、といった施策をうつこともできますが、流入数だけに着目するのではなく、チャネルごとのユーザーがどのような行動をとっているのかも確認しましょう。
ユーザーが検索エンジンにおいて、どのような単語や言葉で検索して自分のウェブサイトを訪れているのかを知りたいときは、「集客」内にある、「Search Console」の「検索クエリ」が便利です。
ユーザーの検索クエリを確認することで、ユーザーが自分たちのウェブサイトに、どのような目的をもって訪れているのかを知ることができます。
たとえば、ひとり旅の情報サイトを運営しているとします。検索クエリを確認したところ、「ひとり旅 女子」と表示されていた場合、ユーザーは、女性のひとり旅に役立つ情報を求めてウェブサイトを訪れていることがわかります。この時点で、まだ女性のひとり旅に関するコンテンツが少ない場合、充実させる必要がありますし、すでにコンテンツが充実している場合、自分たちのコンテンツはユーザーが求めているものに合致していると判断することができます。
検索クエリは、「クリック率」や「平均掲載順位」も表示されるため、自分たちのコンテンツがユーザーに求められているものと合致しているのか、質の良いコンテンツなのかを確認することもできます。
検索クエリを確認すると、自分たちの意図せぬキーワードで流入していることがあります。その場合、キーワードが自分たちの運営するウェブサイトのコンテンツとの相性が良ければ、そのキーワードで流入したユーザーに満足してもらえるようなコンテンツを制作するのもひとつの手です。
ただし、そのキーワードで流入したユーザーは自分たちのウェブサイトの目的に沿った行動をしない、と想定できる場合は、そのユーザーに対してコンテンツを制作するのは悪手です。
アフィリエイトやアドセンスを利用して、PV=資産となるようなブログを運営している場合、キーワードに左右されすぎると結果的にGoogleの評価基準である「専門性」「網羅性」「信頼性」「独自性」「権威性」から逸れてしまい、ウェブサイト全体の評価が落ち、結果的にPVが落ちることがあるので気をつけまししょう。
- 検索クエリ:検索エンジンの検索ボックスに入力した単語や言葉
アクセスされているコンテンツ
ここまでで、ウェブサイト全体の評価やユーザーの属性、流れが確認、分析できました。3つ目は、コンテンツごとの評価やユーザーの属性、流れを確認し、分析しましょう。
コンテンツごとのユーザーやセッション、PVなどを確認、比較することで、次のコンテンツの考案に役立ちます。
コンテンツごとのアクセス数は、「行動」の「サイトコンテンツ」内、「すべてのページ」で確認することができます。
アクセス数の項目でも伝えましたが、PVの結果に一喜一憂してはいけません。量だけでなく、質の面でもコンテンツを分析する必要があります。
コンテンツごとのアクセス数を分析するときに役立つのが、「平均ページ滞在時間」、「直帰率」、「離脱率」の3ポイントです。
コンテンツごとのPVだけでなく、や「直帰率」、「離脱率」も確認し、コンテンツごとに比較してみましょう。
「平均ページ滞在時間」や、「直帰率」、「離脱率」を見ることで、どのコンテンツがユーザーに時間をかけて閲覧されているのか、ユーザーが他のコンテンツも閲覧してくれるのはどのコンテンツなのか、ユーザーがどのコンテンツへの興味を持っているのか、知ることができます。
「行動」にある、「行動フロー」を確認することで、コンテンツを閲覧したユーザーが、次にどのような行動をしているのか確認することができます。
画像を例に説明すると、PVが一番多いコンテンツは、その場で離脱してしまっています。一方、PVが少ないコンテンツの中には、他のコンテンツへ遷移しているものがあります。
「行動」のページを確認することで、人気のコンテンツがあったら、そのコンテンツをシリーズ化してみよう、と考えたり、強化したいコンテンツが読まれていなければ、もっと関連記事を増やしてみよう、などと考えることができます。
まとめ
ウェブサイトの目的を達成するためには、闇雲に運用するのではなく、ゴールを目指しながら運用していく必要があります。ゴールを目指すための指針として役立つ「Google Analytics」ですが、集計されるデータをただ眺めるのではなく、目的を持った上で、データを理解し、分析しましょう。
「Google Analytics」は、たくさんのデータを与えてくれますが、自分たちのウェブサイトではどのデータが必要なのか、不要なのか、取捨選択をしながらうまく活用しましょう。
今回紹介した「アクセス数」、「流入経路(チャネル)」、「アクセスされているコンテンツ」の3つの観点は、ウェブサイトのコンテンツを強化する際に必要となりますので、「Google Analytics」をこれから活用しようと考えている方、もしくは、うまく活用しきれていない方は、ぜひ参考にしてください。
チーフエディター リサ
横浜市在住。 学生時代よりウェブメディアを複数運営していた経験を生かし、株式会社Lippleで編集長として勤務。ライティングだけでなく、ウェブサイト運営・分析も行う。年間100本以上の映画鑑賞がライフワーク。ピカチュウが大好き。
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